環境問題と適応型生存本能

地球温暖化の原因は、その95%が人為的原因とされている。残り5%は火山の噴火や自然の変異で起こっているということらしい。しかしながら日本の戦後からの長期データによると、夏で35度以上の真夏日は逆に少なくなってきており、冬日で寒い日が少なくなり冬の温暖化が進んでいることが解ってきている。(気象予報会社のHALEXによる)

この数日確かに暑かった。人間のホメオスタシスに悪影響を及ぼすのが42度以上となるためこの温度を越えると体も壊れる。インド、パキスタンで50度を記録した猛暑で数千人が死亡したが、この気温で人間が生活することはできない。
一方、NYの大寒波はこの数年当たり前になっているが偏西風の蛇行が熱帯地域で海温上昇に伴い海水が蒸発することによって偏西風の流れが変わることでNYの大寒波に繋がっている。
マイナス50度を記録した超大寒波だ。
インドでは熱波、NYでは大寒波、地球上で極端な気候変動が起こっている。

温暖化で本来ならばもっと気温が上がっても不思議がないのだが、何故そうならないのかは深海が温度を吸収している説もある。海辺に深海魚が打ち上げられるニュースが報道されたが、深海で生息できなくなった生き物の生存変異らしい。

温暖化に異議を唱える説もある。70年代に発表されたローマクラブの「成長の限界」は的外れな予測であったとされ現実に予測ができないことを明らかにしたが、未来を悲観で捉える典型的な例となっている。
マット・リドレーの「繁栄」という本は、科学的楽観論に基づいて未来の悲観論をひっくり返す興味深い本である。

現実的には主要ファクターが多くなりすぎて予測ができなっている。環境問題は解決型と適応型の2種類がある。現在では適応型が優勢になりつつあるようだ。避けられない事態に対してどのように適応するかに重点を置き、社会システムから乖離しないように進めていることが特徴。

いずれにしても100年に1度しか起こらなかった自然災害は、50年に1度となり、10年に1度は数年に1度というように頻度が上がってくることは事実である。

情報過敏症が進めば進むほど人間の生存能力は弱くなってきているのではないだろうか。読まなくても良いことや、やらなくてもよいことが多すぎ、経験でざっくり取捨選択できる智恵が必要となってくる。
スティーブ・ジョブズが子どもたちにネットを使う時間を制限し、本を読んで聞かせていたのは有名な話だ。もちろんこれはジョブズだけではない。人が生きていく上で根幹となる体験や精神を培う経験は、ネットで培われるものではないだろう。

情報過敏症は、昔なら普通の夏日でも、暑い暑いと騒ぎたてることになる。インドやNYの熱波なら話は別だが、昔なら当たり前のことだったはず。
情報過敏症が強まれば強まるほど、人間は外的条件にコントロールされやすくなっているのではないだろうか。