為替相場でのドルが示していること

金融不安の時代において起こっている現象の中で、為替相場でドルフランが上げているという現象がある。
アメリカの景気が悪いのだったらねドルが下がっても不思議ではないと思うが、逆なのである。

これをどう考えるかというと、いまアメリカがつぶれたがマズイ、
従ってつぶれそうなアメリカにドルが還流していると考えるのが正しいのかもしれず。。。
損失補填の海外からのドル還流とみるのも正しいのかもしれず。。。
または、ドルの資金調達に困難をきたした金融機関や投資家が自国通貨を売って米ドルを買うことで資金調達を図っている現象かもしれず。。。

ユーロドルはピークの1.6から1.30まで落ち、オーストラリアドル/米ドルは、0.98から0.64まで下げた。それに伴ってユーロ円、豪ドル円が下げ足を速め、ドル円を引き連れて落ちていった。

ドルフランは上がっても、ドル円は円高基調なのである。

2003年2004年に行われた33兆円にものぼる円安相場を作り出す為替介入が、(これは小泉・竹中政策でもあったわけだが)、現在の円安バブルの崩壊がとどめを指しており、単に高金利通貨を思っているとスワップ貯金が溜まると思っていた人たちをどん底に叩き落とした。

長い目で見ると、基軸通過の無い変動相場に入っているのかもしれない。もちろんのことながら金本位制には戻れない。

アメリカはサバイバルに成功しても、日本が円高基調を克服する世界の中での戦略を生きない限り、日本は沈没する。

岡倉天心

昨年の秋、「岡倉天心」展に行った。
東京芸大創立120周年記念で開催された展示である。

直筆の原稿、手紙が展示されていて感動した。
まず、字が汚いのである。正確には、汚いというより、伝えることが勢いよくあふれ体裁や字の並びは後回しなのである。当時の手紙は罫線もないため、巻物のような和紙に筆で書かれている。
森鴎外に講義を依頼した手紙も、その字の放埒さが面白い。手紙の最後に講義のスケジュールが書かれており、今で言えば手紙1枚にでかでかとスケジュールが書かれていた。

当時の授業風景が写真で展示されていた。仏師の高村光雲に講義を依頼し、作品づくりに余念がないという理由ではじめは断られる。しかし粘る。工房を学校に持ってきてもらうという口説き方で。仏の彫刻を講義の中で作り、その作り方を教える授業だったらしい。

これは!と思った人間を口説いている。存在と存在が深く呼応している。形式など二の次だ。

坂本龍一があるビデオ対談で語っていたこと。バッハやモーツァルトの形式をそっくり授業では教えられているが、決して生徒はバッハやモーツァルトにはなれない。対談相手の村上龍が、無意識の世界ですねと膝をうっていた。
そう、立ち現れてくるのは存在。潜象の世界からである。

岡倉天心の「東洋の理想」を読んでいた。名文だ。さまざまな影響外国から受けながらも、日本文化と命・エネルギーをとらえ続けている。

現在の金融危機

現在の金融危機に対して、いくつかの観点がある。
私にはイギリスの産業革命以来続いてきた近代化と市場原理主義、そして金融システムの行き詰まりが最も大局的な観点になると思っている。
300数十年に一度の変化することになる。

元FRB理事長のグリーンスパンは、100年に一度の金融不安であるという。これは明らかに1929年の世界恐慌との比較であって、資本主義が内蔵しているバブルと恐慌の最も大きな波として捉えた場合の観点になる。実務家であっても、これくらい長いスパンでとらえている。

昨年、2007年8月に金融不安で金融商品が大きく下げたときに、97年98年のアジア通貨危機に比較されることが多かったと思う。アジア通貨危機は、経済の実態に対して流れ込んでいる資金が過剰でありバブルと判断したジョージ・ソロスがタイバーツの猛烈な売りを浴びせかはけたことから始まる。そして98年のロシアの通貨危機。ジョージ・ソロスは、タイバーツの売りで莫大な利益を上げ、逆にロシアの通貨危機では損失を出している。いずれにしても世界は90年代の後半デフレからの脱却が、この金融危機によって遅れた。

金融商品は、上がるのは徐々にしか上がらないが、下げる時はあっという間に下げる。これは上げるときは皆が暗黙のうちにこれは上がるだろうと予想し、つまりケインズの美人投票をしている。下げる時に勢いがつくのは、今まで上がると思って買っていた人たちが、恐怖によって売るからである。相場の世界では損切りという言葉があるが、次々と損切りされることによって値が走ることになる。
金融商品は、その多くが売りでも買いでも利益を上げることができる。(株の空売りがある)
ジョージ・ソロスのクォンタムファンドは、設立からたしか10年ほどは、年間4000%ほどの利益を上げていたと思う。ヘッジファンドは世界に約6000あるが、昨年から利益を生むのには苦戦している。今まで決まった容量の池に少数のヘッジファンドが跋扈したため、数千%の収益が可能であったが、現在はヘッジファンドの数が多くなりすぎたため、ジョージソロスのところでも年間十数%の利益還元となっているらしい。

現在の資本主義が存命する上で、中国・インド・ロシア・ブラジルの開発と成長が必須となるわけだが、中国が今までのアメリカの役割を果たすことはなく、そういう意味では世界は帝国の崩壊と多極化に向かっている。

アジアを一つとしてとらえるときに、文化・宗教の違い、格差などまだまだ課題は多いが、日本が今後生き延びていく上で、特に中国とインドとの関係は欠かせない。
小泉内閣のグローバリズムは、アメリカと心中する政策であり、戦後の成長期にとられた政策が状況にあってないまま引き継がれていることを考えると、今度の衆議院選挙は、戦後日本が初めて体験するパラダイムシフトになるかもしれない。

グローバーリズムは、それが進めば進むほど、ローカルでの独自性が問われるという逆説を念頭に入れておく必要がある。情報、貨幣、流通さまざまな面において、世界間での相互依存性は高まっているが、それぞれの国が持っている文化、強み、豊かさ、創造性がなくしては、この世界的な相互依存性の中で生き延びていくことは難しい。

今回始まったデフレは、100年続くという説がある。あながち外れてはいないだろう。

選挙は、どこに入れようとも個人の自由だが、自民党のウルトラCだけは理解しておいた方が良い。
つまり
皆が選挙にいかれるとヤバイ。選挙に行っても、何も変わらないでしょう、というウルトラCである。
だから、選挙に行こう!