タイラー・コーエンの「大停滞」、「インセンティブ」、「創造的破壊」、「フレーミング」

土日でタイラー・コーエンの「大停滞」、「インセンティブ」、「創造的破壊」、「フレーミング」に目を通す。
ゲーム理論について基礎を勉強。

「大停滞」は、1980年代移行で賃金は上がっていないし、インターネット以外の目新しい技術革新は無いという前提で、そのことを実証的に数値を上げて書いている。政府が税金として徴収できる「刈り取れる果実」が無くなってきている。
ネットは構造的な変容に関係しているので、参加したもの参加していないものの差が激しくなるという今まで語られてきた意見も。このネットの技術革新が、恩恵をもたらす反面、大きな収入をもたらさないことも指摘。この傾向は、「フリー」のクリス・アンダーソンまで行き、企業にとって収益の上げ方が変わる。ネットの登場で家電など価格競争にさらされるのは当然で、商品のライフサイクルも短くなり売れる商品と売れない商品の二極化が進み、社会全体にデフレ圧力が高まるのは必然であり、大量生産大量消費型のマーケットからユーザーオリエンテッドなマーケットに構造変容するのは仕方ないこと。
最後は、イノベーションをもたらす科学者の地位向上を図れ、というところで結ばれている。レオナルド・ダヴィンチは、芸術家として有名だが科学者としての側面が軽んじられているとも。
昔、ゼロサムという言葉が流行ったが、これは市場経済がゼロサム成長であるとは言い切れないので、今は語られない。ゼロサムがパイの食い合いを重商主義とセットで語られていることが多いということを若田部さんの著作でキーワードとして語れていることで学ぶ。

「インセンティブ」実に豊富な例が紹介されている。以下、目次:「内なるエコノミスト」の声がもたらすインセンティブ、実際のお金、ビジネス文化、芸術作品と自己愛、自分に有利になるようなシグナリングとその心理のケース紹介、自己欺瞞の欠点と美徳を支える点、とにかく美味しく食べる極めつけの極意で自分に有利な方向に変える例、七つの大罪(傲慢、強欲、放蕩のちの色欲、嫉妬、暴食、憤怒、怠惰、クリスマスプレゼントは世界を救うだろうか=他人を助けるための助言)、内なるエコノミストとわれらの文明の未来。インセンティブの心理的要素を豊富な例で紹介。)

「創造的破壊」
シュンペーターのキーワードを、コーエンが現代で文化を中心に検証。グローバリズムが逆に文化の多様性を生み出しているという説を貿易利益モデルから紹介。「文化の同一化と差異化は同時に起こることが多い。」「多用性とは、集団を互いに孤立させる機能ではなく、集団同士を互いに結びつける関係である。(クロード・レヴィストロース)」「異文化間交易は、それぞれの社会を改変し崩壊させるが、結局はイノベーションを支え、人間の創造力を持続させることになる」。またエートスの脆弱性と諸問題として異文化交易を検証。ミネルヴァモデルとして交易がエートスを壊滅させるより先にエートスの創造的成果を流通させること。多様性のパラドックスつまり多様性という価値観の受容を拒む社会があったほうが世界の多様性が進むというGは苦節の紹介。アメリカの文化帝国主義について。最小公分母効果は、異文化交易の結果生まれる多様性として、つまり万人に向けた製品は逆に衆愚化するため、文化はおのずとこの分母を守ろうとする。国民文化は重要なのか、など。
日本への序文が付いている。震災後、日本人の創造力がきっと日本を立ち直らせるという応援メッセージ。確かに日本の持つ異文化を受容して創造する力は非常に高いことが知られているし、日本人の変わり方そのものは変わらないいうこの強さを失ったとき、日本は本当にヤバイとなる。

ゲーム理論については、経済でも政治でも参考になる。経済ではインセンティブがゲーム理論に関係するのだろう。
ゲーム理論入門という下記の紹介が参考になった。
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/yus/ecolab/game.html
非協力ゲーム理論の無限回数型については、国際政治での適用が語られるだろう。尖閣をめぐる対立は、ゲーム理論的に言えば、中国のためにも日本のためにもならなかったはず。日本も中国側を読み誤まり損をした。損を得にしているとすれば日本の企業が、この対立が続かないことを読み、無償で車を修理したりしていること。この判断は先を読んでいる。
韓国については、ハンの思想を知る必要があるだろう。韓国は自殺率が非常に高く、高麗大学のアンケートで再び生まれるとしたら韓国に生まれたいか?という質問の答えが、なんと5割しかなかったことは知っておくべきだろう。ゲーム理論で複雑化したときの集合的考え方は専門領域に入るので、今後。

あと行きつけのスパに行ってスチームサウナに入り、DVDを4本見て週末はおしまい。ショーシャンクの空の下で、を再度観る。脚本が優れている。脱出テーマは、いつ観ても引き込まれる。

時間と記憶 ふと気がついたこと

ふと気がついたこと。

関係を築くには、壊す時間の5倍以上の時間がかかる。

洞窟に壁画を描き始めたときから人類には知性を物質化する能力が顕在化したが、同時に記憶を定着させることにもつながった。恨みは記憶と結びついている。恨みを消すには喜びや幸せだと感じる量を5倍以上に増やすことで忘却させることができるだろう。

時代の中で情報が密になってくると、ちょっとしたきっかけで情報が物質化して顕在化してくる。棚上げされていた尖閣の問題も然り。液体の中で濃度がある密度を越えて結晶化してくる化学的反応に近い。平和は結晶化せず流動性と運動の中で対象化されること無く交流する。

世界各国で政治が機能しなくなってきているので、地域紛争がますます増えるだろう。マクロでは問題の解決が先送りされ、ミクロの張り巡らされたネットワークから立ち上がってくるもの、そちらに重心が移ってきている。

希望はどこにあるんだろうか

今週は、 T さんと会食。宇宙エレベーターの話を聞く。地球の軌道上に基地を作り、地球とその基地をエレベーターで結び、地球の回転に合わせるという壮大な計画で、アーサー・C・クラークの発案らしい。私もこの話は知っていて、2050年頃にNASAが完成させる予定で進められていると話し盛り上がる。赤道上に構築するらしい。
私はこの話を知ったのは、太陽光発電がこのシステムで成立すると、数万倍もの電力を作ることができるということからだった。核廃棄物の問題も地球の外に捨てさせてもらって解決するだろう。今は宇宙語膨張してる段階なので、この廃棄物の問題も大丈夫かもしれないが、何十億年もたって宇宙が収縮する段階に入った時、戻ってくる可能性もあるかもしれない。
いずれにしてもこういうぶっ飛んだ話は、面白い。
そのあとは、江戸の話で盛り上がる。
江戸時代の性がいかに豊かだったかというところで、性の話は明るくおおらかに語るにこしたことはない。現代文明のダークなところは、ほとんどが性の歪曲に起因しているだろうから、閉じれば閉じるほど、塞げば塞ぐほど、いびつさが出てくる。難しいところだ。

土日は読書。若田部昌澄さんの「日銀デフレ」「本当の経済の話をしよう」を読了。リフレ派の論客として有名な若田部さんの著作。
日銀デフレは、あの官僚制度どっぷりの体質とリフレ派から見たら逆ばかり施策する日銀の歴史を読む。日銀にとってインフレが恐怖になっていること。今の日銀法が1997年か8年に棚からぼた餅で改正となり、日銀の独立性が保証された経緯。旧法は昭和17年か8年に制定された。
デフレ時代に逆をやるもんだからたまったもんじゃない。これはクルーグマンあたりも日銀批判は行っていて、90年代後半に速水総裁が、バブル後の金融引き締めという逆の施策を打ったため、日本のデフレ脱却がほぼ無理になったことは指摘している。
本当の経済の話をしようは、インセンティブ、トレード、含め4つのキーワードで経済を説明できるとても分かりやすい良書。インセンティブは誘因と訳され、内的な要因であるモチベーションとは区別されている。インセンティブを広義で捉えたほうがいいだろう。従ってどんな選択が得になるかシミュレーションするゲーム理論も射程に入る。笑ったのは、2歳の弟のトイレ付き添いでインセンティブがもらえる5歳の姉が、弟を頻繁にトイレに行くようにするため、水を飲ませるという下り。まあ、こういうのもある。
同じくインセンティブについて書かれたタイラー・コーエンの著作を予約。
心理学と経済が融合したミクロ経済についての良書で25年かけて書かれた著作、八田達也さんの「ミクロ経済」も予約。

マクロで明るい材料って無いんですよね。だから鬱的な時代になっている。
そんな状況の中で、人と人の関係、そこから生まれる創造的エネルギーについては、未来がある。というところでミクロ経済のお勉強はこれから。

先週の金曜日は、アメリカの雇用統計の発表があり、良い数字だったが、本当だろうか?元GEのジャック・ウェルチも疑念をコメントしていたが、6日に大統領選挙なので、悪い数字が出ると現政権にとってマイナス材料となるため、裏で何か作為があっても不思議はない。CNNでは、コーネル大学を出てもスーパーの裏方仕事しかない学生が、いかにアメリカでも20代で仕事が無いかを訴えていた。これは日本も中国も同じ。日本では非正規雇用が20代で5割まで達しているし。
今春卒業してベンチャー系の会社に就職した元大学院生の知り合いも、先日会ったところ、昔の元気さは無くなっていた。企業が効率化を求める結果、20代の人たちを機械のように酷使する傾向は益々強くなっているのだろう。育てる余裕が無くなっているようだ。育てるためには、失敗を許容し、フィードバックさせ、精神的にも成長できるよう見守る必要があるが、統計上でも20代の労働時間が増え続けており、いずれロスジェネの逆襲が起こる可能性もある。つまりスピンアウトして、俺たちで会社作っちゃうもんねえ、という当たり前の傾向が、いずれ起こることの方が望ましい。
今の家電業界では既にこのスピンアウトで独立していく若い人たちが出てきているようだ。
うん、頑張れ、ロスジェネ世代!

右利きの人が左手で書いてみると

中学時代に右手を骨折して、試験を左手で書いて受けることになった。
二週間ほど書いてみると慣れてきて何だか気持ちのいい感覚まで生まれてきた。結果、それまでの成績より良かった。ふと思い出して今度は文字を右から左へ書いてみる。左手の場合、右から左へ書く。いつも使っている神経回路を変えてみることで、その変化を楽しんでみたい。

町を歩くと看板やPOPや、すべて左から右へ書かれている。これが逆になったら思い出す。一文字一文字刻むように書いている。これが速く書けるようになると何が変わるのだろう?きっかけは運転免許証の更新時に受けた講習で利き眼はどっち?というのをやった。ここまで効き眼に依存していたのかと驚く。これが右目に眼帯までして左手で書くと完璧だ。効き眼、利き手は後天的に鍛えられてしまっているので、小学校のときにでも、この逆をやってみると面白い。先生も左手で黒板に右から書く。教科書も全部逆。

右利きの場合、交差神経で左脳につながっているので、計算とか論理が強くなる。右脳は感覚的なものを司っているので、その役割が強くなる。中学のときの感覚を今でも覚えているのだが、何か裡から生み出しているような感覚だった。外側の計算だけでは飽き飽きしてしまっていたので、もってこいの体験だ。

15年ほど前から電話は左耳で話すようにしている。そのほうが人に優しくなれるような感覚だからだった。これは簡単にできるので、人に勧めてみよう。絵や企画書の中に図形を描くときも、これでいってみよう。パソコンも右から左に打てるようになったら面白い。左利きの人は困っているんだろうなあ。

今日のブログは、日記帳にこれで書いてみた。

まずは

世界が122年振りの猛暑を終え、秋の帳が降りた。

最近どうしてこんなに哀しくなるのだろう。まるで深い哀しみの大河にいるようだ。
表面的な言葉にも、瞬間的に誘われる笑いにも乗っかることができず、自分と向き合ってみると、まるでユングの集合的無意識のような深い哀しみの大河のようなものを感じる。

それは私一人ではなく世界中で多くの人々が共通に抱いている何か、ツケ刃もカンフル注射も効かない、そんな風に感じる。

こういうときは、ドストエフスキーを読むか、宮沢賢治を読むか。。。

この深い大河は何かを予兆しているのだろう。
いろいろな強欲が渦巻き、表層が繰り返される歴史の下で流れている何か。
すべてが終わってもそこから始めるしかない何かが集合的無意識のようにある。
認識は抜け出ることの第一歩だが、意識では抜け出せない。

まずは、秋の澄み切った空のもとで深呼吸してみるときに得られる自然からの応援を、瞬間から永遠まで拡げてみよう。
まずは、今日も昇りくる太陽の恵みを体いっぱい受け取ろう。
まずは、この宇宙で人類がまだ生きているとしたら、それは一粒の砂であっても希望が存在することだと考えよう。

5次元 余剰次元について

薦められてリサ・ランドール著「ワープする宇宙」を読む。

私たちは三次元+時間の1次元の四次元に住んでいるが、この四次元は、5次元の断面でしかないという余剰次元理論を可能性を解りやすく紹介してくれている。

特殊相対性理論、一般相対性理論から始まり、量子論も数十頁で、内容の濃い紹介をしてくれているので、余剰次元の理論を組み立てるに至る前提理論を踏まえることができる。
巧みな比喩で理解させてくれる能力は、文学にも造詣が深いことを想像させるが、生活の中から拾い出してくる身近な例で理解させてしまうスピード感に溢れていて、読者に理解の達成感を与えている。

例えば、対称性の破れについての比喩。
丸いディナーテーブルで皆が席に着いており、水が置いてあるとする。右にある水を取るか、左にある水を取るかで、全員の取り方が決まる。はじめに水を取ったときに対称性の破れが起こる。というように解りやすい。

今話題のヒッグス機構についても、この本を読むと、この不思議な粒子の位置付けがわかる。

この人は最も深いところでワクワク感があるのだろう。宇宙の謎解きに恋をしている波動が伝わってくる。
そして、宇宙物理学を語りながらも人柄が見えてくる。例えば余剰次元の共同研究者であるラマン・サンドラムがいるのだが、彼女は、常にラマンと私は、と共同研究者の先に記している。本質的なことしか研究しないラマンがその研究姿勢で博士課程を4期経ながらも、なかなか上の職に上れなかったことを彼女は心配しており、くじけそうになる彼を励ます話は、心根の優しさを窺い知ることができる。

そういう周囲のハーモニーとチームワークを作りながら、ワクワク恋の一直線で余剰次元の可能性を解き明かしていく明晰さは、宇宙との相思相愛から生まれる集中とエネルギーに満ちている。相思相愛だから向こうから扉を開いてくれる。

私たちは、宇宙の中の地球の上で生きながらも、宇宙について、まだ殆ど解らないでいる。
4次元が、余剰次元と交流しているとしたら、一体それはどういうことなのか?
はたまた、何故、宇宙は膨張しているのか?
何故、銀河の渦巻きと巻貝の渦、台風の渦巻きなど自然に存在する渦巻きは同じフィボナッチ係数となるのか?
五感と物質的意識に縛られているのだろうか?
本来人間の精神はもっと自由な存在であったのではないだろうか?

人間は今までに作り上げてきたものに縛られて生きていることは確かだろう。日常と物質がすべてだと意識するとバベルの塔さながらに、まずは自然の法則から逸脱し、ひいては宇宙の法則から逸脱していっていると考える方が外していないと思われる。

恋は彼方へ向かわせる。

人間を超えたもの、それは、宇宙でもあり、自然でもあり、神でもあり、神々でもありる。
古代においては、相思相愛が断ち切られたときに生じるエネルギーの消失から畏敬する心が生まれたのだろう。

この本は、面白い。

アジアの未来について考える

第一次大戦後のアメリカの好況が、ウォール街の大暴落に端を発した世界恐慌の後、第二次大戦後のブレトンウッズ体制をもって合意した。(ウォール街の大暴落が、第二次大戦で終結したとは言えないので、修正。日本では高橋是清の金本位制からの離脱と大幅な金融緩和政策によるリフレで解決、同じくアメリカでも恐慌後のFRB金融引締め策の失策の後、金本位制からの離脱と金融緩和策で回復。11/4付)QE1,2,3と続くアメリカの追加緩和策は、カンフル剤で世界を持たせている手法。
QE1,2で加速されたインフレの後、止めればデフレという繰り返しの中で、残されている手法が無くなってきた。
膨大に膨れあがったマネーの流通が、どこではじけるか。
資本主義は次の成長へ向かえるITに次ぐ産業が生まれない限り、この巨大なリスクから逃れられず、ちょっとした亀裂が大きなヒビ割れを起こすようにして、持たせ続けてきた状況が一挙に崩壊する可能性を常に孕んでいる。

中国は、昨年から欧米からの投資引き上げが行われており、増資しているのは日本だけ。
0.4%の富裕層が7割の富を握るアメリカ以上の格差社会であるため、国内暴動は年間1万件を越えている。今秋の政権交代にともなって富裕層の海外への資産移転は急速に進んでいる。中国の政権は、北の共青団中心の現政権と南の太子党(昔の江沢民)との間で、相互に政権が入れ替わる。
古代においても、思想面は、北が孔子の儒教、南は老荘思想というように異なる。文化大革命の際に、孔子批判が行われたことは有名だが、今は修正されている。
しかし、唐、宋の優れた文化は元の侵攻により失われ、加えて4000年来の価値観であった「友」は、1992年以降の修正資本主義によってマネーに置き換わった。古来から伝わる文化が希薄になったため、社会の制御力をすでに持たず、資本を生み出す力が、中国人口のピークである2040年頃には大高齢化社会とともに大きな転換点を向かえることも意味している。

今秋就任予定の習近平(太子党の江沢民系)は、南の太子党になるため、胡錦濤ー温家宝政権&鳩山ー小沢政権で見られた当初の蜜月は、厳しい。胡錦濤直系の李克強(小沢一郎のもとで書生をしたので、小沢ー中国には太いパイプラインがある)は、習近平の次の指導者として北京側で内定しているが、それまで日中関係は非常に厳しい状況となるだろう。

バブルの亀裂がはじけたとき、アジアで影響を受けるのは、中国と韓国、そして日本である。はじけたときの中国の荒れ方は、すさまじいものになるだろう。それは今回の尖閣問題の反日デモを見れば判る。この反日デモは、欧米諸国が対中投資への疑問を呈している。韓国は1997年のアジア通貨危機をIMFからの借入で乗り切っており、海外貿易依存が97%に上る。サムソン1社でGDP18%という脆弱な基盤の上に成り立っている。中国、韓国は、日本やドイツのように中小企業が強くない。

ガツンと落ちた後のアジアの展望を見据えていないと、混乱から生じるナショナリズムが火に油をかけ、政権は本来の問題を逸らすためにその混乱を利用するだろう。

アメリカは、20年先において朝鮮半島の安全保障に対して力をかけられなくなる。これはアメリカの多極主義者の展望であり、それはアメリカの財政赤字とGDPが20年先には中国に抜かれ、アジアの安全保障に対してコストをかけることができなくなるという前提で組み立てられている。白人比率も20%まで落ちる。多極主義者がめざすG2、アメリカと中国で世界の体制を作ろう、というビジョンは、キッシンジャー、ブレジンスキーらの立案がベースになっている。今のアメリカは、クレジットカードの発行減少にみられるように、自分たちのライフスタイルを消費過剰の傾向から見直すようになってきており、今後、自分たちの身の丈にあった生活と消費に戻る傾向が高く、これは逆にドルを強くする。

日米安保条約も効力を無くしていくだろう。

そのとき、日本は、そこにインドを加えて、アジア経済の将来にどう貢献できるか、そこにかかっている。

7月シンガポールの大学の先生を話す機会があった。
日本の政治的混乱については、深く頷いて、シンガポールは、将来的なビジョンとして中国とインドの方向を見ていると語っていた。

将来的に、中国と韓国の反日教育と運動は、両国の国益を阻害することになるだろう。大混乱で底をつくまで売られ、そして買い戻されるというヘッジファンドの餌食となるだろう。ちなみにリーマンショック前のアメリカGDPに占める金融マーケットの比率は、3割である。日本のGDPは、450兆ほどなので、その150兆が金融マーケットで稼いでいることになる。

たとえ大混乱があっても、その先に、アジアの共存と平和を見ていない限り、ヘッジファンドの餌食になることは確実だろう。20世紀半ばまで続いたアジアに対しての植民地政策がかたちを変えて進行することになる。ヴィジョンの共有が無い限り、困難に耐えることは無理であり、今はまだ厳しすぎる。

被災地と死生観

知り合いと今春行った被災地のプロジェクトを振り返った。
仙台の小中学校の生徒が応援旗にメッセージを書いてもらい、それぞれの旗で文字を構成するというプロジェクトだった。
旗には、希望、元気、底力などメッセージが書かれていたのだが、学校単位で制作されているため、限界があったように思う、という話をした。

本当は、優しかったおばあちゃんが津波にさらわれてしまい悲しい、とか、いつも励ましてくれていたおじいちゃんが家の下敷きになって死んでしまい、思い出しただけで胸が締め付けられるという、魂の深いところで泣いている子供たちの心をがあるのではないだろうか。身内に亡くなった方もいれば、家の被災だけで済んだ方もいれば、ごちゃまぜの状況の中で、いっしょくたに未来に向かうんだという持っていき方は手落ちだろう、そう思った。

人は魂の問題が片付いていないと底力も出てこないし、深い悲しみにとらわれていたら受容されてないと癒やされない。
魂の問題をさておいて復興経済で前向きに進むには、この問題はいつまでたっても残り続けるだろう。

既存の経済優先の頭は、パイの食い合いの中で行われるゼロサムゲームで効率化と無理強いをしているだけなので、ポテンシャルを持った人間の存在を捉えることはできない。言葉を発するよりも前に、仕事をするよりも前に、その人がその人である自我意識の前に、深く広く人を受け入れ自然と交流している命があり、存在はその言葉にできない命と同義である。

東北には縄文後期から流れているゆるやかで優しく大きな水脈がある。
縄文時代の平均年齢は30歳位である。子供も生まれてすぐに亡くなることが多々ある。日常に死が当たり前のように出来事としてある。悲しい、だから墓を住居の近くに作り、亡くなった身内と一緒に暮らすのだ。現代とは逆の死生観である。

死を対象化して忌み嫌い、恐怖の対象として恐れるようになってしまった現代にあって、死ではなく死者とともに生きていた時代があった。山を見て、畏敬し感受できる魂は人を傷つけない。今を生きる悲しみも喜びもそういう豊かな自然と共同体の中で培われてきたはずだった。

病人に、元気になれよ、と言っても、それは酷である。元気になろうにも体が動かないのだから。
これと魂のレベルで同じことが起こっているだろう。

現代人は沈黙の裡に聞く能力と感受性を取り戻す必要がある。

ユーロ、世界経済、そして若い人たちの希望

今年はアメリカ大統領選の年。アメリカの現政権は、選挙まで株を落とすわけにはいかないため、何が何でも上げてくる。そのためには、ユーロ危機すら手のひらを返したように買い戻しが入る。ドル売りユーロ買いが株上げの条件となる。つまり、リスクオフでないと株は上がらない。リスクオンでドル買いとなる。
このユーロ買いは、ユーロ共同債で南欧を救うというプランが前提となっている。9月12日にこの共同債が違憲かどうかの審議結果が出る。ほぼ条件付きであれ通ると読まれている。その後のFOMCにおいても、バーナンキ議長のドル安肯定はよっぽどのことが無い限り崩れないと見られている。9月7日のアメリカ雇用統計の数字が良くなかったため、いつ何時でも追加緩和の用意があるというメッセージングもユーロ高を支持している。
このリスクは原油高であるが、全体として、危機救済のためには仕方ないと見られているだろう。

はたして、この流れはいつまで続くのだろうか?年内はもつかもしれない。

要は、2007年6月をピークとして、リーマンショックに至った経緯は、未だ薄氷の上を歩む資本主義が、次の新しいステージ、産業を生まない限り、何も変わらないこと。一時的な戻しであることになる。何故、リーマンは潰されて、AIGは残ったか?デリバティブの残債が巨大であったこともさることながら、リーマンはロスチャイルド系に分類され、アメリカの新興財閥系WASP系ではなかったため精算されたと見るが、たった8%の損失でもあれだけの震度があったのは、CDO,CDSのデリバティブがそれまでの限られたマーケット市場の規模を数学的に非常に複雑な仕組みで実体経済以上にパイ自体を巨大に見せ、市場参加者の利益を嘘のように作り上げた結果、サブプライムに発する小さな亀裂が全体の亀裂につながり、複雑系の「べき常則」である砂山に砂を積みまして突然崩れるようにして崩壊し、その後は、追加緩和策を2回実行し、今に至るというのが金融の歴史だ。

今年のギリシャ危機からスペイン危機がたった数ヶ月前のことであり、世界は四半期で激変するのが当たり前となっている。

中国とインドの落ち込み方もひどく、友人に中国の状況を聞いてみたところ、日本と同じで大学を出ても就職が無い学生が5割。インドは投資不適確の烙印を押され、今後の展開に苦しんでいる。韓国も同じ。韓国は1990年後半に国家財政破綻し、IMFの介入があった訳だが、この理由は、対日本へのジェラシーが競争力分野で造船などマーケットを見誤ったところに巨額の投資を行い、アジア通貨危機(ジョージ・ソロスがタイ通貨への仕掛けた大暴落に端を発する)で財政が破綻した。その後、IMFは8%(何故こんなに高いかは悪徳な理由がある)ほどの金利で韓国を救済するという名目で高金利政策を行い、海外からの投資を集め持ち直すが、韓国経済は、外資に依存し、輸出に依存する脆弱な基盤であるため、次に恐慌レベルの落ち込みがあり全体の経済が信用収縮したとき、とても持続できる基盤ではないことが知られている。日本は通貨スワップでこのとき韓国を救う訳だが、竹島問題で今白紙に戻している。

さて、話をもう少し遡ってみると、ウォール街の大暴落に端を発した恐慌は、第一次大戦の後、巨額の負債に苦しむドイツからヒトラーを生まれ、第二次大戦を経てようやくこの恐慌に解決がついたという歴史がある。今の状況は、昔ならば戦争しか解決の手段が無かった。
まだ、膨大に拡がる世界中での暗黒デリバティブの負債を解決するのは、マネーサプライを増大させるしかなく、インフレにもっていくしかないのだが、経済成長がゼロサムを続ける限り、自ずと限界がある。ハイパーインフレにはできない。デノミ、通貨バスケットでの地域的解決が、このインフレの解決手段になるだろう。

回避できるのは、次のステージに向けた資本主義・社会のメタモルフォーゼというか変容しかなく、個人の自由と社会の調和、創造と幸福、相互扶助をキーワードにした人が生きる内的な意味でエネルギーが優先される社会と経済のポテンシャルが上がることによって達成されるだろう。
この変化とともに次の社会がある。エントロピーの増大と複雑系は避けて通れず、積極的に受け入れて明日を生きることでしか開けないのである。だからやることが多くなる。

現在、どこの先進諸国においても政治が機能していない。
あまりに複雑すぎる要素に対して政治が対応できなくなっている。

日本にはすべてが集まる。
神も文化もモノも。そして受け入れられている。
多様性を受け入れて自分たちのものとし、明日を生きる統合力を持っている。

日本人には何故それができるのか。
私は海外30数カ国に行ったが、こんなことができるのは日本だけなのである。

戦後の愚民化政策からの覚醒は、歴史的事実を認識することから脱出するとして、自分で物事を考え動ける若い人たちが増えてくるだろう。

20代の人たちと話すと、就職先にこだわっていないようになってきている。世に言う一流企業に就職しても5年後にはリストラにあうかもしれず、自分たちの能力と経験値を上げる人との出会いを求めているように思う。団塊の世代とロスジェネの断絶もここにある。そして退社の理由の8割が上司との不和という理由がある。

日本の大企業は、戦後に誕生しすでに60年経過しているため、システムが古い。特に意思決定が遅いのと、既存権益組にも配慮しなくてはならなかった。しかし、仕事をする上で大切なマインドからやる気、ビジョンの共有を築くシステムが単純すぎて状況に合わず、古くなっている。今までのシステムで生きることができた団塊の世代や50代60代の人たちは自分たちの経験値で物事を図るためギャップが生まれている。私の周りで20代の人たちが独立していくケースが目立ってきた。とても元気だ。話していると仕事をしていないオジサンたち、世間知らずの自己中オバサンたちがうざくなる。

こういうイキのいい若い人たちが、日本を捨てないことを祈っている。彼らはとても仕事をしている。
いずれ彼らは会って元気になる人との間でしか仕事をやらなくなるだろう。
すでにオジサン、オバサンたちに下克上を突きつけている。

若い人たちにニーチェが読まれているらしい。ニーチェは言説がすべて反語になるが、読み方を間違えない限り、自由と価値の創造を説いている。

ハイブリッドで行こう

新宿で友達と飲んでいた際、カーテンに仕切られた隣のテーブル席から20代の男女6人ほどが賑やかな話し声で性を話題にしていた。かなり大きな声で隣のテーブルの私たちにも聞こえてくる。
31歳の彼と25歳の彼と付き合っていて、31歳のほうのアレは試験管みたいで、と凄い話で盛り上がっている。見た目は普通におしゃれをした女の子たちである。書くのが憚れる内容が女の子たちの口から勢いよく飛び出し、快感話の洪水が向こうのテーブルを渦巻いている。友達と顔を見合わせ、しばらく聞いていた。性を対象化して物質化しているのは明らかだが、今回、道徳的な判断は無しとして、考えてみた。

エネルギーのポテンシャルが驚くほど高い。聞こえてきた言葉のひとつに「本能」という言葉があった。止むにやまれず突き動かされている前駆のエネルギーがある。普段、親や大人たちとの間で見せている彼女たちの顔の背後には、この突撃するような快感一直線の本能が渦巻いている。本能は彼女たちのエネルギーを肯定し、即座に状況を取捨選択する直感の強さも持っている。
性であれ、スポーツであれ、その対象の中で突破してくる前駆の優位性は、女の子たちがある意味、突然変異して目覚めたかのようで生き物としてのサバイバルを始めているようだ。大人たちはそのことを理解できないでいるだろう。

世代的にはロスジェネにあたる彼女たちは、男の子たちが、社会と自分との関係、上司と自分との関係などの諦念が、やっぱりダメかなあという閉じた円環的時間意識の中で人生を定義して勢いを無くしていくのに対して、空間的突破力ともでも言うべき凄みがある。

時間意識に対する空間意識。思考に対しての直感。

店を出た後、友達とこのエネルギーが日本をサポートするかもしれない、という話をする。結婚に幻想を見なければの話だが。

ふとハイブリッドで行こうというメッセージが生まれる。
体から受ける信号は男もハイブリッドになっており、この体を情報センターとして復権させると、蘇ってくるものがある。

「ロスジェネの逆襲」は面白い

池井戸潤さんの「ロスジェネの逆襲」を昨夜読了。
面白い。読後のスカッとするあの爽快感。
「下町ロケット」からファンになった。
今回はIT業界が舞台。
多分、池井戸さんって忠臣蔵を研究したんだろうなあ。
日本人の琴線に見事なまでに触れてくれる。
ストーリーも緻密で飽きさせない。

企業が行う社員教育はなかなか成果が上がらないことで知られるが
こういう企業エンタメ小説で、ふつふつと燃えるものが生まれるほうが
よっぽど教育効果があるだろうなあと思う。
勉強するにも情熱がないと、成果なんか上がらないだろう。

氷のように冷たく人間を道具にしてくる世の中で生きていくには
信念と情熱が無いと生きていけるもんではないだろう。

気仙沼の復興計画 その矛盾を伺う

7月28日(土)は、気仙沼の商工会議所副会頭の菅原さんの話を聞く。
東京で小さめのカンファレンス。

被害状況 かつて東洋一と言われた魚市場。
復旧進んでいない 小出しの予算 一括整備すれば早いのが省庁の合意が取れずできない。絵ができない。進んでいない。悪循環の連続。

グループ補助金 復興予算の中 2000億の予算 ニーズは4000億
残り2000億ははじかれた。
24年は500億円しかつけず。
復興担当の政務官にきいたら、大体のところは終わったでしょ、これからは小さいところで500億でまにあうでしょ。
以前、2000億で泣いた。今、足りるというので泣いている。

気仙沼 210億円申請。 46億8千万の分配。438社申請。98社しか取れず。5分の1くらいの会社しか取れず。
安住財務大臣 また出すから、と。では、なぜ小出しにする?5兆円余っているのなら。

以下は、なんと馬鹿なお金の使われ方の紹介。
国土交通省の被災地婚活ツアーで80件の事業採択。JTB,近ツリ、etc。被災地にお客さんを送り込んで、そこに補助金。
しかし行く人どうしの婚活。
経済産業省の減塩生活 12億円が大手の会社についた。被災地での生活で本当に必要か?現地で違和感ある。もっと大事なことがあるでしょう、と。仮説住宅、せまくなっている。

代理店に丸投げして、韓国で被災地元気祭りを実施したとのこと。販売許可とっていなかったため、韓国で被災地以外の日本の産品を、それも韓国で買って販売するはめに。これも復興予算で実施されている。

矛盾だらけの復興予算の使われ方。

気仙沼でホットなのは、防波堤の話。

国と県のいいなりで進められている。
気仙沼では新しく防波堤を作る土地が無いところで、現実に襲ってきた津波と矛盾するシミュレーションで組み立てられた防波堤がゴリ押しされようとしている。
初めに高い防波堤を作り奥へ向かうほど低い防波堤計画が進められようとしているが、現実の津波は、奥へ進むほど高くなった。いったい国はどういうシミュレーションをしているのか、嘆く菅原さん。
防波堤文化があった岩手では受け入れられるだろう、しかし、気仙沼には、無く、土地も無い。
そういう中で、浮上式の防波堤を、ほとんどコストが変わらなく作れるので大林組から提案してもらったが、知事と行政は、すでに決まったことだからの一辺倒。
浮上式防波堤は和歌山でも実績があり、土地が無い気仙沼では、是非採用したい防波堤の形式。

県が行う防波堤計画も3−4人がバラバラに話し、担当部署が違う。住民たちは分からなくなる。
すべては知事が決めたことだからということで住民の総意が押さえ込まれていく現実。
市民の意見をまとめて県や国と交渉できるマネージメントリーダーが必要。

国や県が、コンサル会社とゼネコンに丸投げし、住民の意見が、まるで反映されない町づくりなど存在しないはず。

矛盾だらけの復興計画。

被災地 負の連鎖か正の連鎖か

7/20〜22で被災地に行った。
20日は福島のいわき市で社長さん。いわきの状況をお聞きする。
行政には頼れない、民と民でやるしかない、という結論をもってらっしゃった。
定食屋で昼飯を食べる。魚の煮付け定食を頼み、女将さんと話す。
小名浜(いわきから近い漁港)からのお客さんがめっきり減ったとのこと。
風評被害で魚が売れない、そして値下げにあっているという話は聞いていた。

悪循環。負の連鎖という言葉が浮かぶ。
その足で、バスで仙台へ。

仙台は週末金曜の夕方で賑わい、いわきの様相とはまるで違い、キラキラしていた。昨年10−12月の四半期GDPが日本で最大の伸びとなった県が、宮城であることは、よく知られている。
復興のお金が流れ、東京から保険に始まり様々な業種の関係者がなだれ込んだ結果、大きなお金が動いた。12月はホテルすら取れない状況だった。
今はやや収まり当日予約の素泊まりで宿泊。
夜、国分町で牛タンを食べる。新宿の歌舞伎町に近い。人で賑わっていた。
翌日、沿岸部へ。iSPPの東北被災地学習ツアーでの参加。
石巻から女川へ。仙台市とは打って変わり、津波の傷跡が生々しい。
女川へ向かう途中、バスから見える風景は、平地が多く、雑草が生えている。この平地は、住宅地だったと聞く。
女川に到着し、観光局の担当から話しを聞く。お父さんが津波でお亡くなりになっていた。震災発生後、津波の高さが10mであると予知警報が流されたが、実際にやってきた津波は、20mだった。
海に近い七十七銀行のビルは、3階建てで、女性行員の方々は、屋上に避難した。しかし、津波は、その3階を軽く越える高さでビルを飲み込み、17人の女性行員がお亡くなりになった。花束が添えてある。悲しい。
高台の病院を2階近くまで津波は襲った。
マスメディアを通した映像では伝わりにくい生々しい状況が語られる。

女川のかまぼこ工場「高政」さんに伺う。
工場の設備などを見学させていただいた後、震災時のお話を聞く。
高政さんは、震災後、食料も無く、インフラが途絶え、町が全滅した中で、工場にストックされていたかまぼこの材料を配布しつづけた。
4月に入り社員を切らざるを得なくなった周囲の工場が多くなった中で、社長は雇用を守り続け、設備が稼働できる工場を再開された。周囲の工場が販売ルートを持っていない場合は、店舗で製品を販売され、地域ぐるみでの復興に取り組んでおられる。5000円ほどかまぼこを買う。女川の人口は、1万1千人ほど。高政さんで働く従業員は、現在、900人まで増えた。その心意気が全国に届き、町づくりに邁進されている。かまぼこを食べた。美味しい。
通販もやってらっしゃるとのこと。

被災地でこれからの課題は、産業復興が大きな柱になる。産業が復興しないと、雇用も生まれない。

負の連鎖か正の連鎖か、被災地はどのような支援を受けるかで復興と再生が決まる。

円高と日中間の直接取引

今日は、スペインで銀行の取り付け騒ぎがおこり、ユーロ急落。
6月17日のギリシャ投票を待たずして、焦点がスペインに。
ドル円も79円割れ。
輸出企業がしんどい。株が上がらない、となる。

日銀、財務省でも1日で600兆は動く外国為替のマーケットの中では一参加者であり、介入してもその効果は持続しない。追加緩和策を2/14発表した日銀にとっても、バランスシートはある。
負債が大きくなればなるほど、資産も増やさなければならない。
国債か対外資産かというところで国債を守っているのだろう。(もし日本国債が完売しなかったとすると、国債が暴落し、日本はハイパーインフレーションに突入し、国民の生活は崩壊する。)
量的緩和政策は、つまり日銀の当座預金残高を増やすことだけれど、ここでバランスシートがず〜っと増大しており、GDPは90年代から10%落ちて450兆になったにも関わらず、バランスシートが拡大し続けていることに対する日銀の危機感なのだろう。
アメリカのようにドルが基軸通貨である場合は、この量的緩和政策を取っても、ドルの環流システムがある限り存続できる。議会の承認は必要だが。(今、このドル環流システムが、存続できるかどうかで、国際政治上、代理戦争のようになっている。主に、アメリカvsロシアand中国)
円は基軸通貨ではないので、アメリカのようにジャブジャブとは印刷できない。

歴史的には、アメリカが不景気のど真ん中にあった1985年にプラザ合意があり、ドルを安くしないと、アメリカは立ち直らないという前提から、逆にドル安円高が始まり、ドル円はず〜っと落ちてきた。

本来、どこの国でも自国通貨は輸出を考えると、安いほうがいい。日本の円高は実態乖離しているので、誰もがそう判断しているのだが、いかんせん、日銀と財務省だけではコントロールできない。

これはさすがにかなわん、というところで、6/1から中国と日本の間では、固定のペッグ制が始まる。しかし、比率があるので、日本の経済力が戻ったときに、不利にもなるだろう。しかし、今の状況は仕方ないか。
日銀としては、これ以上バランスシートを増やせない。つまり量的緩和政策をこれ以上進めることは、本当は難しいと判断しているのだろう。

これだけ円高が進むと、製造業の海外移転も進み、日本の国力が衰弱するばかり。日本の実態経済に対して、円が強すぎる。
いずれにしても、中国との直接取引は日本の苦肉の策である。たぶん、ギリギリの選択だったと思う。

P.S.はじめペッグかと思ったのですが、直接取引に言葉を換えました。6/1付

日本は海外から期待されている

5月21日の週は、ギリシャから始まりスペインに端を発するユーロの金融不安で揺れた週だった。
ユーロドルは、1.25の重要なサポートを割り、2002年から続いていた超長期トレンドを割りこみ、逆に基軸通貨のドルが買われる事態となった。
この影響は、ユーロ圏への輸出比率も多い中国経済の減速にも影響し、LINKされているオーストラリアの貿易収支(対中国が輸出の3割)にも影響が出た。
金融不安の中で、基軸通貨のドルが買われ、ドルインデックスが上昇している。
ドル円は、先日のBLOGで94円をめざすだろうと書いたが、ユーロ円その他に引っ張られ、難しいかもしれない。このままいけば、株も上がらないし、このまま行けば2014年にアメリカが金利を上げるため、先物商品のバブルが崩壊するかも知れない。
日本にいると海外の切迫感、特にユーロ圏の状況はつかみがたいが、スペインでは一時取り付け騒ぎも出たらしく、フランスでは金持ちが国外退避しているという情報もある。
ギリシャ問題は、3月中旬の投票でユーロに残るかどうかが決まるが、もし残らないとなると、厳しい事態が待っている。元々、50兆円ほどの問題が、デリバティブで500兆円を超しているため、これが問題だった。500兆円と言えば、日本のGDPが450兆なので、それより多い。
ゴールドマンサックスがユーロ圏で創業以来2回目の大赤字を出しており、2月14日のバレンタイン宣言で超円安を作り上げた外資の主要メンバーが、彼らとなっているのは、その大赤字を埋める戦略が元になっている。
RISK-OFF,日銀の追加金融政策も変更無しの円安要因がないところで、ドル円は、本来上がらないのだが、3月につけた週足の上昇とドルフランのストレートドルでの急激な上昇で下落が防がれている。
輸出企業が厳しくなる。
5月の上旬までは、ここまでドルは強くなかった。中国がイランとの原油取引で元を使うというニュースにしても、世界が多極化していくその長いトレンドの象徴でもあった。リーマンのときでもそうだったが、ドルを本国に戻す動きの中での強さであり、円がそれよりも強いため円高になっていた。(ドル円は下げすぎた後の自律反発から95円まであげた後、その後が本当の円高になるだろう)
ドルは基軸通貨であることをいいことに、ジャブジャブ印刷して双子の赤字が膨らんでも、国債格付けが落ちないという世にもおかしななドルの循環システムを作り上げているので、このシステムが崩れると、アメリカから金融恐慌が始まる可能性が出るため、アメリカの格付け会社を使おうがどんな手を使ってもこのシステムを守ろうとしている。
昨年、アメリカの格付け会社が、アメリカ国債の格付けをユーロやアジア圏と同じように平等な判断から、格を下げたところ、その社長はクビにされたという、この事実からも、いかにアメリカがやっきになっているかが分かる。
今の歴史は、第一次大戦、第二次大戦を経た悲劇の歴史でもあり、教科書にはまるで出てこない真実の歴史が一方であるたことを考えると、戦争と生き残りを前提として戦略展開している人類滅亡の歴史でもある。

2012年の半ば、何が起こっても不思議がない。

では、私たちにはどんな可能性があるのか?
日本人を嫌っているのは、アメリカ、中国、韓国の3国が中心で、中国、韓国は歴史教育の結果だと思うが、アメリカの場合、日本をナメている。キッシンジャーやジャパンハンドラーズの一派が「ジャップ」という蔑称を使うのは、世界でもアメリカの連中くらいだ。2発の原爆を落としておいて、よくそんなことができるな!と憤りを覚える。真珠湾にしても事前に知っていたことが暴露されている。
上記3国以外では、日本人は非常に好感を持たれている。
戦後の復興を成し遂げたその秘密を教えてくれ、とか、尊敬されているのだ。この国は。

それが、日本の自虐教育含めて、まるで自信がない平和ボケした国民に成り下がっているのは、哀しい。
平和は人類の悲劇も全部分かった上で、いかに大切であるか、そして作り上げることの大切さを知っている日本人が、伝え始めることが大切。

海外から日本は期待されている。そのことは知って欲しい。

2040年くらいまで地球上の人口は増え続ける。資源、環境問題、天災、これらを解決する新しい資本主義のステージと共存の精神がヒントになるだろう。

本来なら、もっと明るいことを書きたいのだが、今週は特にそういう気分になれず、鬱々としていた。

妻にそのことを話し、なんか明るいニュースないかなあ、というところで
ペンギンの脱走事件の話をしたら、少し持ち直した(笑)
これは葛西臨海水族館で飼育されていた140羽のペンギンのうち、1羽のペンギンが脱走したという事件で、職員が捕獲したらしいのだが、脱走したペンギンの勇姿を想像するに楽しくなってしまった。すごいペンギンだ。自分一人で脱走するんだから。
人間も今の制度の中に片足を突っ込みながら、脱走しつつ創造することが必要なんだろう。



葛西臨海水族園から逃げ、東京湾で泳ぐペンギン