麹のちから!

「麹のちから!」山元正博著を読んでから、我が家は麹ブーム。
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)が増えたデータや科学的アプローチがふんだんに書かれているので、信頼が置ける。
何よりも著者の探求心が凄い。三代に渡って麹を研究されてきた方で、日本の麹研究はこの方を抜いては語れないだろう。

さて、私が思うに微生物と人間の関係は、共存関係であり、有名どころでは、腸内菌が2kgあるという話。これが無くなればどうなるか?ヤクルトなどはその答えを持っているのだろうが、免疫に関わるのだろう。

人間は自分だけでは生きていないというのが最近の直感。

人間様から他の生物も生かす人間君にまで降りてみて一度意識を変えてみるといいのだろう。

先日面白い話を聞いた。
人情という言葉があるが、例えば、野菜の人参の場合でも人参情というものがある、と。
農薬をぶっかけられてそれでも命いっぱいに生きてきて、人間に収穫されて、台所に運ばれてきたときに、人参さん、よく私たちのために生きてくださった、これから私たちのお料理で調理させていただきますが、ありがとうございます。
この感謝の気持ちを持つかどうかで、人参さんも、そうか、そういう気持ちを持ってくれるんだったら、ひとつあんたたちのエネルギーの糧になったろうか、と思ってくれるというのだ。命のバトンをつなぎ、命をいただいている。
そういう気持ちで料理をすると違うという。

とてもよく分かる。

自然農法体験

友人の招待で農業体験に行った。長野県中野市。

自然農法で農業するお宅だった。昨年夏に食べたミニトマトが今までに食べたものの中でとびきり美味しかったので行ってみた。 自然農法とは農薬を一切使わずに土を作り直すことから始める。 土を掘り返してみると、ミミズが出てくるわ、小さな虫がにぎやかで、こんなに土が豊かだったのかと分かる。ミニトマトの美味しさはこの土から生まれていたのか!

草刈りをやった。赤い茎の草は繁殖力が強く横に伸びてくるから根っこから引き抜かなくちゃいけない、と教えてもらいながら友人とひたすら草刈りをやる。

隣の畑がほったらかしで、セイタカアワダチソウが繁茂していた。畑の中で一番強い雑草が繁殖してしまうという。 だから生物が多様な環境を作ることが大切との話。

農業は土だ、という説は知っていたが、実際に触れてみて、いろんな生き物が生息していることを体験する。そして朝、つぼみだったマツバボタンがたった3時間ほどで昼には辺り一面に花を咲かせていて驚く。凄い。

お話を伺うなかで、この数年で特に冬雪が降らなくなったと。日本での気候変動は夏よりも冬が顕著になっている。(関連投稿:利根川水系の水不足と暖冬の影響

hatake

matsubabotan

関連資料
科学雑誌 Natureより

生態学カテゴリー

Nature 537, 7618
2016年9月1日

生態系内で限定されている資源が複数あると、種間のトレードオフが可能となって種共存の可能性を高めることが、理論によって示唆されている。今回W Harpoleたちは、この理論について、全球規模で展開された栄養素添加実験である「Nutrient Network」共同研究のデータを用い、植物群落を対象として検証を行った。複数の大陸の45の草原で実施された複数年にわたる栄養素添加実験のデータを集約して解析した結果、添加した栄養素の数が増えると植物種の多様性が低下することが分かった。これらの知見は、地中の資源をめぐる競争が植物種の多様性を高めていることを示唆している。

ガイア理論から

ダーウィンの適者生存に対して、ガイア理論は地球がホメオスタシスの自己調節を行っているのは、多様な生命が閉鎖系である地球で自己調整し合っていることで保たれていることとしている。
ガイア理論に使われるデイジーモデルは、デイジーを光を反射する白いデイジーと吸収する黒いデイジーに分け、惑星の温度差によってどう変化するを示したモデルである。またそこに草食動物であるうさぎが入りデイジーを食べ過ぎるとどうなるか、もちろんデイジーが無くなりウサギも絶滅する。そしてそこにウサギを食べるキツネが入るとどうなるか、こうしてひとつの環境が生命によってどのように維持されていくかを説明する。
ガイア理論の提唱者ジェームズ・ラヴロックと「利己的な遺伝子」で有名なリチャード・ドーキンスとの論争で提示されたモデルだが、最終的にはドーキンスも地球が自己調整することを認めた。
環境が始めにあるのでは無く、多様な生物が地球環境を造り出している。先に書いたバクテリアが排出する窒素で地球の酸素と窒素の比率が一定に保っていることも例として挙げられ、日本では漁が獲れなくなった漁師たちが森を豊かにすることで海が豊かになり漁業を続けられたことも知られる。これは環境に合わせて適者生存を説くダーウィンの進化論モデルとは異なる。
生命体と無機物との関係においても、地球が暖まればプランクトンの活動が活発になり、これによって雲が増え地球を冷やす効果が生まれる。その逆は地球が冷えてくればプランクトンの活動も低下し雲の量が減る。このように生物と無機物が複合的に絡み合ってフィードバックするシステムが地球のホメオスタシスを維持している。
さて、上記のように生命体と無機物が関連し合って全体の自己調整が保たれているとき、その調整がバランスを崩したとき、何が働くか?
当然、人間も自然からの揺り戻しを受ける。(実際に気候変動で受けている)
還元主義、操作主義は意識を物質化することで資本主義との整合性を保ってきたと考えるが、非線形に満ちた生物の多様化世界が存在する地球という閉鎖系の世界で、大いなる調整が働き、人類全体の創発の力が要請されるのが、これからの時代になるだろう。
そして日本人の自然観がこれから更に見直されることになるだろう。
故糸川英夫博士が語るには、人間はこれからバクテリアや微生物など今まで無視してきた生命体とのコミュニケーションが大切になると説く。海中に毒を流せばプランクトンたちが、もう死にそうだ、やめてくれと悲鳴を上げるが、その声を聞くためのセンサー技術が大切になる。(「逆転の知恵」より)
更に言えば、IoT(Internet of Things)でのセンサー技術とビッグデータの解析は、このような今までに分からなかった人間と他生命体との間でのコミュニケーションを促進させるかもしれない。そしてセンサー技術は日本が最も進んでいる分野である。

宇宙の中で地球が生まれる確率は、10の15乗分の1

地球がもし金星に少しでも近ければ太陽のやけ尽くすような熱を帯びた惑星になっているし、火星に近ければ乾燥した惑星になっている。非常に狭いバンドで太陽の周りを回っているのだが、このバンド幅を10分の1とすると、現在の地球の状態が存在するには、その他確率要素を加味すると10の15乗分の1という確率でしか存在し得ないらしい。

銀河系は約1000億個の星で構成されるため、同じような銀河系が1万個ある中で、一つ生まれるかどうかの確率になる。宇宙のローカルでこの上なく恵まれた惑星の上で戦争と喧嘩にあけくれる人類は、宇宙の中でどう映っているのだろうか?自分たちの作った神で戦い、自分たちの作った金で豊かさを計り、自分たちの自分たちのと自分ばかりの事を考えている生き物は、大きな大きな全体の中で迷惑この上ない生き物として存在しているのだろう。人類が滅亡しても地球は残っている。

生物の多様性は、或る生物が多くなりすぎることも少なくなりすぎることも無く、この星で適応していく最適な環境とバランスを維持していた。江戸時代まで絶滅した生物は無かったらしい。

イギリスの産業革命時代に、森が煤煙にまみれ黒く変色していった。森で生存していた蛾は、白色だったが捕食から逃れるため黒色に変化したことが記録されている。突然変異が起こった。
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生物の多様性について

典型的な生物の多様性を考える上での例。

ライオンはシマウマを食べる。シマウマは草を食べる。
しかしライオンが絶滅すると、シマウマが増加し、草を食べ尽くす。やがて草を食べ尽くしたシマウマは、食べ物が無くなって絶滅に至る。

生物の多様性は、底辺に行けば行く程、小さく数の多い生物が存在しているが、その生物を食べて生きている動物は、より数が少ない。
数の上で、 ライオン < シマウマ < 草 というようにピラミッド構成が成立しているのが生物の多様性になる。

しかしながら、このピラミッドで現在頂点に立っているのが人間で、現在75億人、2050年には90億人に上る。

このアンバランスさが、生物の多様性をみるみるうちに破壊していっている。その結果何が起こるか?

イギリスの産業革命時代に、工場からから出る煤煙が森林を真っ黒にし、それまで生息していた白い蛾に突然変異が起こった。白い蛾は、鳥に捕食されないため色が白かったのだが、真っ黒な森林に適応するため体色を黒に変異させた。生物は環境適応するために突然変異する。

生物学では、強い生物が生き残るのではなく、環境適応した生物が生き残る。そして環境適応するためには、一人ではなく二人、三人で適応したほうが良く適応できる。このあたりは生物学の吉村仁さんが書かれているのだが、企業がマーケットの中で生き延びるためにも同じ事が言える。

2016.06.19 生物の多様性が環境を作るとするガイア理論も参考に