​ Who Gets What​ 副題:マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学 アルビン・ロス著

腎臓の生体移植から始まり学校と応募生徒のマッチングなど、マーケットデザインの設計から失敗事例含めて実例とともに紹介し、人のためになるマーケットデザインを設計しようとする学者の志が伝わってくる。

腎臓の生体移植は適合が難しくスピーディな外科手術と移植が必要とされる。そのシステムをどう作ったか、また学校の応募は生徒が必ずしも入学してくるとは限らず学校側との間でいかにして定員割れを防ぎ生徒は志望校に入学させるかの受け入れ保留のシステムデザインを紹介している。
デザイン例としては病院と研修医とのマッチングも。
クリアリングハウスという中継センターでのアルゴリズム設計を紹介している。
この本ではどのような要素が入ると失敗するか?が紹介されている。
例えば贈与と交換において金銭が派生したときの反発、不快感を尊重することなど、安定的なマッチングと厚みのあるマーケットを創出するための実例が示唆に富む。
先に紹介した「シェア」もコミュニティが存立するための何か、それは人の役に立つことが喜びであるとか、民泊で部屋を貸したら新しい出会いがあって楽しいなど文化的価値が存在する。単純にくっつけたらそれでいいという話ではない。
アルビン・ロス博士は、2012年 安定配分理論と市場設計の実践でノーベル経済学賞を受賞。