ハイブリッドで行こう

新宿で友達と飲んでいた際、カーテンに仕切られた隣のテーブル席から20代の男女6人ほどが賑やかな話し声で性を話題にしていた。かなり大きな声で隣のテーブルの私たちにも聞こえてくる。
31歳の彼と25歳の彼と付き合っていて、31歳のほうのアレは試験管みたいで、と凄い話で盛り上がっている。見た目は普通におしゃれをした女の子たちである。書くのが憚れる内容が女の子たちの口から勢いよく飛び出し、快感話の洪水が向こうのテーブルを渦巻いている。友達と顔を見合わせ、しばらく聞いていた。性を対象化して物質化しているのは明らかだが、今回、道徳的な判断は無しとして、考えてみた。

エネルギーのポテンシャルが驚くほど高い。聞こえてきた言葉のひとつに「本能」という言葉があった。止むにやまれず突き動かされている前駆のエネルギーがある。普段、親や大人たちとの間で見せている彼女たちの顔の背後には、この突撃するような快感一直線の本能が渦巻いている。本能は彼女たちのエネルギーを肯定し、即座に状況を取捨選択する直感の強さも持っている。
性であれ、スポーツであれ、その対象の中で突破してくる前駆の優位性は、女の子たちがある意味、突然変異して目覚めたかのようで生き物としてのサバイバルを始めているようだ。大人たちはそのことを理解できないでいるだろう。

世代的にはロスジェネにあたる彼女たちは、男の子たちが、社会と自分との関係、上司と自分との関係などの諦念が、やっぱりダメかなあという閉じた円環的時間意識の中で人生を定義して勢いを無くしていくのに対して、空間的突破力ともでも言うべき凄みがある。

時間意識に対する空間意識。思考に対しての直感。

店を出た後、友達とこのエネルギーが日本をサポートするかもしれない、という話をする。結婚に幻想を見なければの話だが。

ふとハイブリッドで行こうというメッセージが生まれる。
体から受ける信号は男もハイブリッドになっており、この体を情報センターとして復権させると、蘇ってくるものがある。