日中関係の改善と日本の潜在力

日中関係の改善が進んでいる。これは外務省から経産省へ対中政策がシフトした結果。一体一路政策への協力を視野に入れている。トランプ大統領が最低の支持率を更新し、共和党内に置いてもフリーダムコーカス勢力との対立が表面化し副大統領がいつでも大統領の代行を遂行できる体制が着々と進んでいる。行きすぎたポリティカルコレクトの結果揺り戻しのアメリカファーストだったが、再度揺り戻しが生じている。

オバマ政権時代において、既に世界の警察の役割を降りたと宣言したわけだがアメリカの軍事費増大が国家予算に置いては負債となり10年に一度戦争を起こさなければ償却できない内部事情があった。オバマ政権時代は軍事費は縮小されたがトランプ政権では増大している。どこで軍事費を売り上げ計上するか?イコール戦争をどこで起こすか?が米国の歴史。イスラエルの首都をエルサレムと認めたことで起こる軋轢が次の償却先だとしても、キーとなるイランは核査察を受け入れている。国債しか手が無いはず。米は既に債務超過の上限繰り越しを過去22回実施している。

第二次大戦後アメリカが世界のGDPに占める割合は約50%。現在は30%弱だったか。
中国は中国で3年くらい前から就業人口が減少しているので日本以上の高齢化社会があっという間にやってくる。中国からハッキングされる対象に日本の病院がターゲットになっているのはその理由だろう。今世紀後半ではインド人が世界人口の半数を占めるという話もある。

ゆっくりとユーラシア大陸へ覇権が移動し、世界はアメリカ一強から多国間パワーバランスの調整時代に入る。

2018年は折しもリーマンショックから10年目の年である。20世紀からの経済恐慌は殆どが米国発であり、ブラックスワン(予測不能な経済的ショック)は突然現れる。資本主義は恐慌を内蔵しているので全てが連鎖する現代では瞬く間に負のスパイラルに落ち込む。ドルをジャブジャブ刷った緩和策QE1.2.3が救済策だったが、現在のアメリカは出口戦略と共に金利を引き下げるカードを持っているが日本は持っていない。(アメリカの出口戦略と同時に日本のマイナス金利が施行されたのも変な話だが)今や株値の上昇で1800兆を越える個人資産と対外貸し付け債務260兆が頼りである。2018年は恐慌も起こらず無事を祈るが、経営者はいつ何時でも備えが必要だ。心しておこう。

先進国の中で少子高齢化を真っ先に経験しデフレ脱却を目指す日本が生き延びるために生産性の向上が必須となるが国内で食っていける茹で蛙とも言える日本が逆転の発想で先進国のモデルとなり得る道はあるのだろうか?

今や人生100年時代に突入しようとしているが、元気な老人と病気で自分をいたわらざるをえない老人の差が激しい。これは経験なのだが母が70歳を迎えたとき私の簡単な仕事を手伝ってもらったところ、とても元気になった。毎日50通を超す郵便物を送るためポストの時刻表をチェックして持っていってくれた。義母は或る販売作業のメールのやりとりから発送を代行してくれた。高齢者でもやることがあって自分が貢献できると元気が出てくる。そして例え少しのお金でも労働して得ている、これが大切なのだ。年金だけを当てにしたとき外出も切り詰めて行動が限られてくる。人との出会いも少なくなる。だから老人には働いてもらおう。知恵もあるのだ。そして感謝の気持ちを伝えよう。
多分ここが欧米とは違うはず。欧米ではアーリーリタイヤメント(早いリタイア)と言っていかに稼いで早く引退するかが人生の豊かさの指標となっている。しかし日本の場合、古事記を読んでも分かるように、国創り=神様が仕事をする、なのである。
マックス・ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」では、カルヴァン派の禁欲生活が資本主義を創ったとするが、財をなした後のリタイヤメントが次に来る。そこで仕事は決して楽しみでは無い。
日本は色恋、楽しいことが大好きな国民なので、仕事に1/f揺らぎが入ってくるし、暗黙知と創造性も生まれる。仕事=楽しいとなれば日本の強み発揮である。日本は、じいさん、ばあさん、老若男女問わず集合知で向上できる潜在力を秘めた国なのである。

宇宙の遙か彼方から地球を見れば、違いや多様性を活かすシステムと技術を持っていないがために悲惨な歴史を繰り返してきたと見えるのだろう。しかし日本に揃っている条件は実は素晴らしい。