トランプをアメリカの経営者として見てみると

戦後アメリカが世界のGDPに占めた割合は5割近く。しかし現在では2割強。1980年代は日本の絶頂期に対してアメリカは衰退期。その衰退期を90年代からITと金融をセットにした世界的な金融マーケットで拡大させ、2008年にリーマンショック。ドルをジャブジャブ刷ったQE1から3までの緩和政策が利益をもたらしたのは、BRICs特に中国だった。アメリカ国内は疲弊しつづけ、東部の有名大学を出てもコンビニで働く姿が紹介されたり、製造業は衰退し続けた。

こういうアメリカを経営者として建て直ししたい、世界の警察はやめて、国内の建て直しをしたい、ここから出てくるのは、対中国貿易での不均衡、安く働く不法移民に仕事を奪われないように、etc。

分かりやすい。もちろんのことながらブレーンがいるだろう。

当選後、アメリカの債券市場ではトランプ次期政権が保護主義的な貿易政策をとり、財政支出も拡大させ、インフレが加速すると見られて、全ての年限の国債利回りが急上昇している。

これにともなってドル円もド101円台前半をつけた8日の午後から、ドル高となり106円台に戻している。Brexitと同じような動きだ。

アメリカの長期金利指標となる10年債利回りは、2.13%と今年1月7日以来の高い水準。

ドル高による高金利政策でアメリカに投資を呼び込み、公共投資を行い、規制緩和を実行する基本戦略。

当然アメリカの不動産も上昇し、トランプの不動産会社も儲かる。リーマンショック後に陥った低金利時代から、グローバリズムの終焉で国力に応じ低金利から高金利へ舵を切り直す契機になるかもしれない。ただ、ユーロだけはブロック経済の中でグローバリズムを継続しているので高金利は難しい。

リスクオフは半日に過ぎなかった。

トランプリスクでの下げ方も凄まじかったが、その後の上げ方も凄まじい。

当初、保護主義に過剰反応した英米メディアは、トランプ叩きを続けているが、イギリスの場合、ユーロ脱退の選挙を行った後、ユーロに比べて株価指数がじわりと上がっていた。何故か?

トランプをアメリカという会社の経営者として見るとよく分かる。
政治より経済を優先させている。

トランプは4度破産をしているが、その中の一回は、日本の銀行から借り入れた資金の貸しはがしにあったことが理由である。
この恨みは深いだろうから解消策が必要だろう。そして本音では日本に対して良い印象は持っていないだろう。

アメリカの建て直しが軌道に乗ったところでドル安貿易メリットの拡大させるだろうから、そのときドル安円高となる。ただし、日本のGDPで輸出が占める割合は2割弱。先進国の中でも特に国内に強いマーケットがある。中国は半分が輸出、韓国は7−8割。

日本は希望の国である。